きり、あざらし、おでん、花王石けん、長茄子、瓦煎餅、といったような先生たちのあだ名が縦にならんでおり、それに括弧《かっこ》して受持学科名が書いてあった。そして、その右に点数欄と備考欄とがあったが、点数欄には五点というのが一つあるきりで、あとはみな四点以下だった。零点はさすがに一つもなかった。備考欄には、「品性下劣、御殿女中の如し」とか、「駈落《かけおち》三回心中未遂一回」とか、「野心満々、惜しむらくは低能」とか、「彼いつの日にか悔い改めん」とか、「愚鈍なるが如くにして、最も警戒を要す」とか、そういったさまざまの文句が、いっぱい書きつめてあった。五点の評点をもらったのは「あざらし」先生だったが、その備考欄には「性粗野にして稚気あり、陰険とは認めがたし、合否の判定は後日会議の結果にまつ」とあった。
 この採点表の波紋は決して小さくなかった。押しよせた生徒たちにまじって、あとでは先生たちまでが代る代るのぞきに来た。生徒たちは、採点表にのっている先生が来ると、一々その点数を大声で叫んだ。中には、備考欄まで読みあげる者もあった。先生の中には、自分で自分の綽名をよく知っている先生もあり、そうでない
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