の話なんか一度もしたことのない先生が、とってつけたように、修身めいた話をし出したり、また中には、変ににやにやしながら、「こないだ大垣前校長からお手紙をいただいてね。」と、その手紙の中に書いてあったという一二の文句を引き出して、前校長をほめ、自分と前校長の間には何か特別の関係でもあったかのようにほのめかしたりする先生もあった。すべてこういうことが何を説明しているかは、生徒たちにむろんわかりすぎるほどわかっていた。だから休み時間になると、彼らはそれを材料にして先生たちの品定めをするのに忙しかった。こんな場合、いつも奇抜な思いつきをやるので人気のある五年の森川という生徒は、四年と五年の各教室をまわってその品定めをきいてあるいていたが、昼休みの時間には、もう校友会事務室の黒板に「教員適性審査採点表」というのを書きあげていた。校友会事務室は、生徒控所の横の小さな室で、間はガラス戸で仕切ってあったので、控所からはまる見えだった。校友会の委員たち五六名が中でわいわいさわいでいる声をききつけて、ふだんは遠慮しがちな一二年の生徒たちまでが押しよせて来たが、その採点表の左の端には、馬賊、チャップリン、かま
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