なのかいつも外出の時に着る白の詰襟服にカンカン帽をかぶり、ステッキまでもっている。次郎が「ただいま」と言うと、ちょっとふりむいて、「きょうはおそかったね。」と言ったきり、わき芽をさがすのに夢中である。
「きょうは校友会の委員会だったんです。朝倉先生のことで。」
次郎は、そう言って、俊亮のすぐわきにしゃがんだ。
「そうか。私もきょうは朝倉先生をおたずねして今帰って来たところだ。」
次郎はおどろいたというよりも、むしろぽかんとして父の顔を見た。
俊亮はただ微笑していた。次郎はそのうちにやっと自分をとりもどしたが、何をどうたずねていいかはまだわからなかった。父が、ゆうべのきょう、さっそく朝倉先生を訪ねたということが、彼にとってはあまりにも意外のことだったのである。
「先生にはお前もながいこと特別のお世話になっていたし、ちょっとごあいさつをしておきたいと思ってね。」
俊亮は、トマトのしげみをのぞきこみながら、しばらくして言った。次郎は、それで、またあきれたように父の顔を見た。まさかもうお別れのごあいさつではあるまい。それにしても、「ごあいさつ」という言葉が気にかかる。父が朝倉先生の辞職
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