て、僕はうれしいのです。もういつ処分されてもいいんですから、校長室につれていって下さい。」
「校長室になんか、行かなくてもいいんだ。君が得心《とくしん》してくれさえすれば、それでいいんだから。」
「しかし、校長先生から言い渡しがあるんでしょう。」
「言い渡しなんかないよ。諭旨退学ということになっているんだ。」
「諭旨――すると僕の方から退学願が出せるんですね。」
次郎は眼をかがやかした。形式だけでも自発的に退学が出来るということが、妙にうれしかったのである。
「そうだよ。それもきょうあすでなくてもいい。もし近いうちに転校先でも見つかるようだったら、その方の手続きをしてもいいんだ。」
「それが出来るんでしたら、僕、朝倉先生にお願いしてみたいんです。」
「それがいい。私からもお願いしてみよう。東京には私立も沢山あるしね。」
次郎は、もう処罰されるために呼び出された生徒のように見えなかった。
黒田先生は淋しい笑顔になって立ち上りながら、
「じゃあ、君、ここでしばらく待っていてくれたまえ。君のことだから、ひとりで帰っても大丈夫だとは思うが、きょうはやはりお父さんといっしょに帰ってもらうこ
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