ており、夫人の眼には涙さえ光っていた。
かなり間をおいて、夫人はうなだれたまま、低い、しかし、はっきりした声で言った。
「ただ今の次郎さんのお言葉をうけたまわりまして、私、まったく恥ずかしくなってしまいました。あの時のことは、私もぼんやりおぼえていますが、あれは、おてんばの私がつい出しゃばったことを申したに過ぎないのございます。……ただ私は、みなさんとおちかづきになるのが何よりの楽しみでございました。ごぞんじの通り、私には子供がございませんものですから、みなさんのようなお若い方を見ると、ただもうお親しくしていただきたくて、仕方がございません。それで、つい時々おてんばなまねをしてみたくなるのでございます。みなさんに何かお教えするの何のって、私、考えてみたこともございません。どうか、これまでのことを、そう深く大げさにおとりにならないようにお願いいたします。私といたしましては、みなさんに、これまで叔母か姉みたように親しんでいただいたことが、ただもう嬉しくてならなかったのでございまして、私からこそ、みなさんにお礼を申上げなければならないのでございます。……あすは、もうご当地におわかれするので
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