べをかじりながら始めよう。」
 大沢が、そう言って、自分のまえの菓子袋をやぶった。すると方々でも菓子袋のやぶれる音がきこえ、土瓶と茶碗とが移動し出した。
 そのざわめきの中で、最初に発音したのは梅本だった。彼はかなり委しく今度の事件の経過を説明し、その間に次郎と新賀とが演じた役割を物語って、みんなを傾聴さした。
 梅本につづいて新賀が発言したが、彼は主として朝倉先生を失ったあとの学校の将来を論じて会員の自覚と奮起とを促《うなが》し、最後に、先年の代りに俊亮を迎えることが出来たことについて、心からの喜びを述べた。
 そのあと、つぎつぎにいろんな生徒が発言したが、たいていは朝倉先生や白鳥会からうけた彼ら自身の過去の感銘や、将来に対する覚悟についてであった。過去の感銘の中には、具体的で印象の深いものもあったが、将来の覚悟ということになると、いずれもぼんやりした抽象的な言葉が多かった。下級の生徒たちは、あまり発言しなかった。発言してもたいていは、
「これから、小父さんや上級生の教えに従ってしっかりやります。」
 という程度以上に出なかった。ただひとり、二年の生徒でこんなことを言ったものがあった
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