あるいは二度とないことかも知れない。万々一にも、諸君の中に、鶏をご馳走したために私をいい小父さんだと思っている人があるとすると、その人はきっと失望するにちがいない。それはあらかじめ断っておく。なぜ私がこんな変なことをわざわざ言うかというと、それは白鳥芦花に入る会が、鶏肉胃袋に入る会になってしまっては、先生に対して申しわけないと思うからだ。もっとも、鶏を飼うのは結局は人間のためなんだから、ほんとうに人間の役に立つと思えば、いくら可愛ゆくとも、またまるで商売にはならなくとも、いつでもそれを犠牲にする肚は私にもある。今夜もそのつもりで幾羽か犠牲にしたわけだ。今頃は多分諸君の腹の中で、諸君の朝倉先生に対する真実と溶けあって、鶏もいい気持になっていることだろう。」
 俊亮はそう言って哄《こう》笑した。俊亮の笑声につれて、みんなも笑った。しかし、その笑声には、変に固いところがあり、何かにつきあたったように、ぴたりととまった。大きい生徒たちの中には、頭をかいているものもあった。
「いいことを言って下さいました。」
 と、朝倉先生はかるくうなずくようにしたが、そのまま眼をおとして、しみじみとした調子で
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