かし、あるとすれば、それはおそらく次郎でしょう。」
 朝倉先生は眼を見ひらいて、俊亮の顔を食い入るように見つめた。俊亮はその眼をさけるようにしながら、
「次郎は、しかし、そうなっても、決してうろたえはしないだろうと思います。」
 またしばらく沈默がつづいた。大沢と恭一と俊三とが、朝倉先生と俊亮の顔をしきりに見くらべている。先生はいよいよ不安な眼をして、
「次郎君自身で、何かそのことについて言ったことでもあるんですか。」
「ありません。しかし、次郎は、元来そんな子供なんです。」
「あとにひかない性質だということは、私にもよくわかっていますが……」
「いや、あとにひかないという点だけを申しているのではありません。次郎は、人間の真実というもののねうちを、誰よりもよく知るように育って来た子供なんです。むろん、何が人間の真実かということについては、以前はすいぶん判断を誤ったこともありました。しかし、先生に教えていただくようになってからは、それもどうなり誤らなくなったように私は思います。これは全く先生のおかげだと思っています。」
「それにしても――」
 と、朝倉先生は、俊亮の最後に言った言葉には無
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