と恭一とは、今度の問題について誰からも何の通知もうけなかったことについて不平を述べた。これには次郎がひとりであやまった。朝倉先生は、しかし、
「知らせなかったのは賢明だったよ。知らせたところで、どうせ何の役にも立たないし、或はかえって有害だったかも知れないからね。」
と言って笑った。
次郎が血書を書いたり、終始一貫ストライキ防止に骨を折ったりしたことについては、大沢も恭一も強く心をうたれたらしかった。しかし、大沢は言った。
「ストライキをくいとめたのはいいが、このままでは、学校はくさってしまうね。大事なのはこれからだと思うが、どうするつもりなんだ。」
すると、次郎が答えるまえに、朝倉先生が、なぜか叱るように言った。
「そういうことは、君のような第三者が立ち入らなくてもいいことだ。これまで渦中《かちゅう》にとびこんで散々苦労をして来た次郎君は、君らの想像以上に、ものを深く考えるようになっているからね。」
これには大沢もすっかり面くらった。しかし、大沢以上に面くらったのは次郎だった。彼は顔をほてらせながら、朝倉先生の顔と俊亮の顔とをぬすむように見くらべた。
そのうちに奥さんが菓子
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