て、
「ごあいさつまわり、すっかり済まして参りましたの。やっぱりおひるぬきになりましたわ。」
「そうか。それはよかった。しかし、おかげで私もおひるぬきさ。」
「あら、お支度はあちらにして置きましたのに。」
「わかっていたよ。しかし、あまり腹もへらなかったのでね。」
「じゃあ、果物でも。……今、帰りに買って来たのがありますから。」
と、奥さんは次郎の方にちょっと眼をやりながら、
「あのう、本田さんのお宅だけは、あすにのばしましたの。今日お父さんにいらしっていただくのに、行きちがいになってもつまりませんので……」
「いいとも。私もどうせおうかがいしなけりゃならないし、都合では誰かに留守居を頼んで、いっしょに行くことにしよう。私は、あす一日あれば、一般のあいさつまわりは済ませるつもりだ。そのあとで、夕方の散歩がてら、ゆっくりおうかがいするのもかえっていいね。」
次郎は、きいていてうれしかった。また、先生夫妻の手さばきのいいのに感心もした。が、同時に、彼の頭に浮かんで来たのは学校の送別式のことだった。彼は先生夫妻をびっくりさせるほどの性急さでたずねた。
「すると、先生、学校の送別式はいつな
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