した。もうさっきから自分を見ていたらしい四つの眼に出っくわしたからである。ひとりは曾根少佐、もうひとりは西山教頭だった。
彼はあぶなく眼をそらすところだった。が、彼の本能的な反抗心がそれをゆるさなかった。こうした場合、眼をそらすことは、彼にとって、敗北と屈従以外の何ものをも意味しなかったのである。
無表情ともいえるほどの冷たい眼が、またたき一つせず、窓わくの中にならんでいる四つの眼に、永いこと注がれていた。四つの眼もまた、彼を凝視《ぎょうし》したままほとんど動かなかった。ただ、おりおり小声で何か話しあうらしい唇の動きや、うなずきあいによって、その表情にいくらかの変化を見せているだけであった。
二分間近くの時間がそのまま過ぎたが、そのあと、西山教頭の姿が急に窓から消えた。すると、曾根少佐は、その蟇《がま》のような口を、だしぬけに横にひろげ、白い大きな歯並をカイゼルひげの下に光らせた。にやりと笑ったのである。
次郎の眼は、やはり無表情のまま、つめたくそれを見つめていた。すると、少佐は、今度は窓から上半身をのり出し、右手を高くあげて彼を手招きしながら、叫んだ。
「本田ア、ちょっとここ
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