た。動揺が波のように室内を流れた。
「よせ!」
 そう叫んで次郎をうしろから羽がいじめにしたものがあった。それは新賀だった。同時に梅本、田上、大山などの四五名が、次郎のまえに立ちふさがっていた。大山の満月のような顔には、その時、どこかとぼけたようなところがあった。それは眼玉をぱちくりさせていたからであったらしい。
「とにかく本田の言うように一応解決しようではないか。本田が暴力に訴えることのよしあしは別として、言っていることは正しいし、おたがいに約束もしたことなんだから。」
 新賀が次郎を羽がいじめにしたままで言った。誰も何とも言わない。
「どうだ、みんな不賛成か。」
 新賀がもう一度うながした。
「賛成!」
 梅本と田上がほとんど同時に呼んだ。
「よかろう。」
 ちょっとおくれて大山が間のぬけたように言った。つづいて方々から賛成の声がきこえた。
 ストライキ問題は、こうして次郎のほとんど脅迫ともいえるような態度で、強引に片づけられてしまった。そしてそのあとは野次一つとばず、熱のさめたあとの変につかれた気分で、朝倉先生送別の方法が議せられたが、それは、校友会からおくる規定の餞別《せんべつ
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