にのって面白半分に野次《やじ》をとばしているものもいるだろう。僕はそういう人に対しては何も言いたくない。僕はそういう人を軽蔑するだけだ。ただ僕は、僕をストライキの邪魔者だと思って僕に対抗している一部の諸君に対しては一言いっておきたいことがあるんだ。」
彼はそう言って、馬田をはじめ、その一派の有力な生徒たちの顔をつぎつぎに見まわした。
誰も彼をまともに見かえすものがない。
「僕は昨日まで諸君のまえで暴力を否定して来たが、――」
と、彼の沈痛な声が気味わるくみんなの鼓膜《こまく》をうった。
「もしも諸君が、今日も僕がそんなふうに考えており、そしてどんな場合にも僕が暴力を用いないと思ったら、それは見当ちがいだ。僕は、不条理を正すために、ほかに方法がないとすれば、暴力もまたやむを得ないと考えるようになったんだ。諸君は朝倉先生のためにストライキをやりたいと言っている。しかしそれは朝倉先生のためでなく却って朝倉先生に背くことになる。それは明らかに不条理だ。だから諸君が、あくまで諸君の主張を押し通そうとするなら、僕は諸君に対して暴力をもってのぞむよりほかない。僕は諸君と血闘をすることも辞しない
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