で、われわれ父兄といたしましても、うっかりして居れないかと存じます。」
 平尾の父は言い終って眼鏡をはずし、謄写刷《とうしゃずり》の父兄名簿を眼のまえすれすれに近づけて、左右に視線を動かした。すると、馬田の父が、
「ちょっとお伺いいたしますが――」
 と、いんぎんな、しかしどこかにとげのある調子でたずねた。
「お話の通りですと、中心になって動いている生徒はごく少数のようですが、もしおさしつかえなかったら、その名前をはっきり言っていただきたいのですが。」
「名前までは、実は、私、たしかめて居りませんので……」
 と、平尾の父はいかにも当惑したように頭をかいた。
「ご令息のお口から、それをおききにはなりませんでしたか。」
「私も、実は、その名前がはっきりすればいいと思いまして、一度たずねてみたこともありますが、せがれの方では、それだけは親にも言いたくないと申すものですから、しいてはたずねないことにしています。あの年輩では、こういうことには妙に義理固いものでして、これは、みなさんにもご経験のあることだと存じますが……ははは。」
 馬田の父は笑わなかった。ほかの父兄たちも、にこりともしないで默
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