ると、僕たちの願書も決して完全であったとはいえない。実は、白状すると、あの願書は僕が書いたんだ。僕が書いたことを秘密にしてもらったのは、あの時新賀が説明したとおり、あの願書が僕一人の意志でなくてみんなの総意だと信じていたからだ。しかし、それは僕の思いちがいだった。何よりいけなかったのは、僕があの願書を血で書いたことだ。僕は、あれを書く時には、それが最善の道だと信じきっていた。血をもって願う、それ以上の願いようはない。諸君もこれならきっと共鳴してくれるだろう、そう僕は信じていたのだ。そして諸君が何のぞうさもなく血判をしてくれた時には、僕は実にうれしかった。僕の考えは誤っていなかった、ストライキなどという脅迫的な手段に訴えて、朝倉先生の人格をきずつけるようなことは、誰も好んではいないのだ。そう僕は思って実にうれしかったのだ。しかし、さっきからの様子を見ているうちに、僕はとんでもない思い違いをしていたことに気がついて、恥ずかしくてならない。もし僕が、あの願書を墨で書いていたとしたら、諸君は果してあの時あんなにたやすく僕の考えに同意してくれただろうか。恐らくそうではなかったろう。諸君はもっと自
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