「僕、一所懸命で血書を書いたんですが――」
 と、次郎はすこし声をふるわせながら、
「それは朝倉先生に恥をかかせるだけだったんです。それに、もしそれがあべこべにストライキの口火みたいになったりすると……」
 次郎の声は、ひとりでにつまってしまった。
「うむ、君の気持はよくわかった。じゃあ、君はこれからストライキ食いとめに全力をそそぐんだね。道江さんは、ここから学校に通うことにすれば大丈夫だよ。土手を通らなくったって、ほかに道もあるし、馬田もそんなまわり道まではやって来まい。ねえ、道江さん。」
「ええ、まさか。」
 と、道江は笑ったが、すぐ真顔になり、
「次郎さん、ほんとにストライキのこと頑張って下さいね。あたし、血書のことちっとも知らなかったけれど、今きいてびっくりしたわ。それでストライキの主謀者にされちゃあ、つまらないんですもの。」
 次郎は何か物足りない気がしながら、それでも、いつもの道江とはかなりちがった道江をその言葉に見出して、だまってうなずいた。すると、また道江が言った。
「あたしのことは、もうほんとに大丈夫よ。これまで、あたし、あんまりのんきだったと思うの。次郎さんのお話
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