さんにきいたんだが、君は血書を書いたっていうじゃないか。」
「ええ。……書きました。」
「それがきっと大きな問題になると思うね。」
「僕はストライキをやらないためにあれを書いたんです。みんなもその条件であれを出すことにきめたんです。」
「しかし、ストライキになってしまったら、君の考えとはまるで反対の目的で書かれたことになりそうだね。」
「勝手にそう思うなら、仕方がありません。」
「主謀者と見られてもいいというのかね。」
「よくはないんです。しかし、仕方がないでしょう。」
次郎の調子は少しとがっていた。道江の問題から遠ざかるにつれて、彼は次第に元気をとりもどして来たのだった。徹太郎は、しかし、心配そうに、
「君、やけになっているんではないかね。」
「やけになんかなりません。しかし、自分で正しいことをして退学されても、ちっとも恥ずかしいことはないと思っているんです。」
「ふむ。」と、徹太郎は感心したようにうなずいたが、「しかし、少し考えが足りなかったとは思わないかね。」
「思っています。あんなもの、何の役にも立たないってこと、あとになって気がついたんです。」
「うむ。しかし、無理もないね
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