の中に、砂地をふむ靴音がざくざくと異様に高くひびいた。そのほかには何の物音もきこえない。
しまりのない口を半ばひらいたまま、ぽかんとして次郎のうしろ姿を見おくっていた馬田は、次郎が十間以上も遠ざかったころ、つぶやくように「畜生!」と叫んだ。そして帽子をふりあげて、力まかせに自分の股をもう一度なぐりつけた。
次郎の耳にもその音はきこえた。しかし、彼はふりむかなかった。そして、もうとうに見えなくなっている道江のあとを追うように、路をいそいだ。
道江の家は、馬田と同じく橋を渡った向こうの村にある。彼女が学校の帰りに、大巻や本田に用があって、橋を渡らないでまっすぐこちらの土手を行くことはしばしばだが、きょうの様子は決してただごとではない。彼女は、或いは毎日のように馬田に学校の帰りをおびやかされているのではあるまいか。次郎は、ついこないだ自分の家の階段の上で、道江と馬田が出っくわした時のことを思いうかべながら、そんなふうに考えた。
家に帰りつくと、すぐ彼は、道江が来てはいないかと思って、鶏舎の方まで行ってそれとなく彼女をさがした。しかし、来たような様子はなかった。で、彼はすぐその足で大巻
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