たのは、十時に近かった。奥さんが、門をしめかたがた、みんなを送って出て来たが、別れぎわに、次郎に言った。
「きょうはいじめられましたわね。……でも面白いでしょう。これにこりないで、またいらっしゃいね。」
次郎は、なぜか、亡くなった母と、日田町の田添夫人との顔を同時に思い浮かべながら、默ってお辞儀をした。そして、暗い通りに出ると、新賀とならんで、沈默がちに歩いた。歩きながら今朝からのことを心の中でくりかえしているうちに、ふと「無計画の計画」という言葉が、新たに彼の頭に甦《よみがえ》って来た。彼は、思わず歩度をゆるめた。そして、闇をすかして、大沢の大きな体をうしろから見上げた。ちょうどその時、大沢は、
「おい、新賀君、どうやら次郎君と絶交しなくてもすみそうだね。わっはっはっ。」
と、あたりに響きわたるような大声で笑った。
八 白鳥会
朝倉先生を中心にした生徒たちの集りを「白鳥会」といった。会員はこれまで十五名で、みんな三年以上の生徒ばかりだったが、今度、あらたに二年から三名、それに次郎と新賀とが一年から加わって、ちょうど二十名になった。たまには、日曜とか祭日とかに、そろっ
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