そばに立った。次郎はいくぶんはにかみながら、
「先生、僕、宝鏡先生にお会いして、あやまって置きたいと思います。」
「ほう。――」
と、朝倉先生は、何か書類を読んでいた眼を次郎の方に転じて、しばらくその顔を見つめていたが、
「うむ、そうか。それはいいね。しかし、いっそあやまるんなら、もう学校でない方がいい。お宅をお訪ねしたらどうだい。あと三四日は間があるんだから。」
次郎は新賀の方をふりむいた。二人はすぐうなずきあった。
「新賀は?」
と、二人の様子を見ていた朝倉先生は、不審そうにたずねた。
「僕も、本田君といっしょに行くんです。」
「どうして? 本田一人ではいけないのかい。」
「僕もあやまることがあるんです。」
朝倉先生はちょっと考えていたが、
「そうか。うむ、うむ。」
と、いかにも感慨《かんがい》深かそうにうなずいて、
「よかろう。じゃあ、二人で行きたまえ。」
二人は、すぐお辞儀をして、歩き出そうとした。すると、先生は、
「しかし、あやまるったって、今さら何もかしこまって、あの時のことを言い出す必要はない。あの時のことにはふれないで、何か荷造りのお手伝いでもしてあげるんだ
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