たかと思うと、次郎は、もう夜具の上から、彼女の腕に抱かれていた。
「坊ちゃん、ほれ、このお乳ですよ。お鶴と二人で取りあいっこなすったのは。」
 お浜は、次郎の手を探して、むりに自分の乳を握らせた。
「もうこんなにしなびてしまいましたわ。あのころは、坊ちゃんのお顔をすっかり埋めてしまうほどでしたのに。」
 次郎は、お浜のあばら骨にへばりついている、つめたい、弾力のない肉の上に、ちょっぴり盛りあがっている乳房を指先に感じて、変に気味わるく思いながらも、何か、こう、泣きたいような甘さを胸の奥に覚えた。
「坊ちゃんが、お母さんのお乳をおいただきになったのは、たった二十日ばかりで、あとは、みんなこのお乳でしたのよ。だから、あたし、心のうちではいつもお母さんに威張っていましたの。……でも、……」
 と、お浜は、かなり永いこと默りこんでいたが、急に身をおこして、自分の夜具にもぐりこみながら、
「ああ、あ、そのお母さんも、もういらっしゃらないし、乳母やも、威張るのに、ちっとも張合いがありませんわ。こうしてひさびさでお伺いしても、坊ちゃんのことを、どなたとしみじみお話ししていいのやら……」
 お浜は、そ
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