追いこした。そして三四間も抜いたと思うころ、廻れ右の練習でもやっているようなふうを装って、木柵の隙間から二人の顔をのぞいて見た。
やはりお浜にちがいなかった。向こうもこちらを見ていた。そしてこちらが声をかけるまえに、
「まあ!」
というお浜の頓狂な声がきこえた。
木柵をへだてて、次郎とお浜とは向きあった。お浜の顔は、もう半分、木柵の間から、こちらに突き出している。
「まあ、まあ、お宅にあがるまえに、こんなところでお目にかかれるなんて、全く不思議ですわ。……でも、……」
と、お浜はけげんそうに柵の内を見まわしながら、
「どうして、こんなところに、たったお一人でおいでなの?」
「僕、乳母やだと思ったから、ここまで追っかけて来てみたんだよ。」
「そう? そうでしたの? よく見つけて下すったのね。あたし、今朝着きましたけれど、この近所に用があったものですから、ついでに、坊ちゃんの学校をそとから覗かせていただきたいと思って、わざとこの道をとおってみたところですの……。でも、こんなところでお目にかかれるなんて、ちっとも思っていませんでしたわ。」
次郎はうつむいて制服のボタンをいじくってい
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