「子供って、ただ可愛がってやりさえすればいいのね。」
 お浜には、お民の言っている深い意味がわからなかった。しかし、気持だけはよく通じた。
「あたし、それがこのごろやっとわかって来たような気がするの。だけど、わかったころには、もう別れなければならないでしょう。」
「まあ、奥様――」
「あたし、死ぬのはもう恐くも何ともないの。だけど、この子にいやな思いばかりさせて、このままになるのかと思うと……」
「そんなことあるものでございますか。」
「あたし、このごろ、いつもこの子に心の中であやまっているのよ。」
「まあ、――まあ、――」
 次郎は、もうその時には、うつむいて涙をぽたぽた落していた。
「でもね、この子もどうやらあたしの気持がわかってくれているようだわ。あたし、何となくそんな気がするの。それでいくらかあたしも安心が出来そうだわ。……でも、お前にも一度あやまっておかないと、気がすまなかったものだからね。」
「まあ、とんでもない。」と、お浜は袖口を眼にあてて、
「坊ちゃん……まあ何て坊ちゃんはお仕合せでしょう。お母さんにあんなに思っていただくんですもの。外に坊ちゃんを可愛がっていただく
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