たくし、このごろ毎晩のように二人の夢を見るのでございます。」
 次郎たちは、次の間からそれを聞いていた。
 しかし、三時をうつと、彼女は急にそわそわし出した。そしていかにも言いにくそうに、
「わたくし、一晩ぐらいは看病もいたさなければなりませんが、今日は俊亮もちょっと遠方に出ていますし、店の方が小僧任せにしてありますので、日が暮れないうちにお暇いたしたいと存じます。まことに勝手でございますが……」
 お民も、正木のお祖母さんも、ほっとしたらしかった。しかし、本田のお祖母さんはすぐには立ち上らなかった。そして、次の間にいた子供たちの方に眼をやりながら、言った。
「ああして大勢ご厄介になっているのも、かえって病人の邪魔になるばかりでございましょうから、一先ず、わたくし、つれて帰りたいと存じます。次郎も、もし火傷の薬さえきまって居りましたら、一緒でもよろしゅうございますが……」
 次郎は、それで自分も一緒に行くことになりはしないか、などと心配する必要はすこしもなかった。しかし、恭一や俊三に帰ってしまわれるのは、いやだった。まだ一度だって喧嘩もしていないし、それに、恭一には、中学校の入学の参考
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