一がすぐ飛んで来て、彼をほかの部屋に誘い出そうとした。次郎は、しかし、それをあまり喜ばなかった。そして、心の中で、自分の来ていることが竜一に知れなければいい、などと思ったりすることがあった。で、学校などで、竜一に、今度はいつ来るかときかれても、あいまいな返事をすることが多かった。
 しかし、竜一の存在は、彼にとっていつも邪魔であるとは限らなかった。ほかに薬を貰いに来ている人がないと、竜一はきまって自分と次郎とのために、春子におやつをねだり、それを二階の子供部屋で一緒に食べるのだった。春子も手があいているかぎり、必ず二人の相手をした。次郎にとってはおやつも嬉しかったが、春子に相手になって貰うことが、それ以上に嬉しかった。もしおやつも春子も一緒であれば、それが最上だったことはいうまでもない。
 しかし、あまり永く次郎が遊んでいるのを、春子は決して許さなかった。薬壜を渡されてから、三十分以上も次郎がぐずぐずしていると、春子はきまって言った。
「お母さんが待っていらっしゃるわ。もう帰らないと。」
 次郎は、そう言われないうちに立ち上りたいとは、いつも思っていた。しかし思っているだけで、それに成
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