言いつかったのかい。」
「ううん。」
「お金は?」
「僕持っていたんだい。」
「お前のお小遣い?」
「そう。」
「何で牛肉なんか買って来たんだえ。」
「母さんが、鶏のスープはもう飽いたって言っていたからさ。」
「まあ、お前は……」
 お祖母さんは急におろおろした声になって、ぼろぼろと涙をこぼした。お民の眼にも涙が浮いていた。謙蔵は微笑しながら言った。
「そいつは感心だ。で、どれほど買って来た?」
「三十銭だけど、たったこれっぽちさ。」
 次郎はそう言って竹の皮を開いて見せた。お祖母さんがそれでまた涙をこぼした。
「いや、今日は牛肉のご馳走が沢山に出来るぞ。叔母さんも、さっき一斤ほど買ったようだから。はっはっはっ。」
 謙蔵は、以前のいきさつなどすっかり忘れているかのように朗らかだった。次郎は、しかし、それを聞いてちょっとがっかりした。小さな竹の皮に、薄くぴったりと吸いついている赤黒い肉が、彼の眼にはいかにもみじめだった。
「次郎、ありがとう。じゃ叔母さんに買っていただいたのと一緒にしてお貰い。」
 次郎は、母にそう言われて、少しきまり悪そうに、もとどおり竹の皮包みに紐をかけた。そして立
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