彼に頓着なく、目籠をかついで、正木の家とは反対の方向に歩き出した。同時に、仲間たちもばらばらに散ってしまった。彼らがまた肉屋のあとについて歩くのではないかと心配していた次郎は、それでほっとした。
仲間たちの姿が見えなくはると、彼は急いで肉屋のあとを追った。彼が追いついたのは、どの家からもかなり離れた畑の中の道だった。幸い近くには人影が見えなかった。彼は何度も躊躇《ちゅうちょ》したあとでとうとう思いきって声をかけた。
「肉屋さん、肉まだある?」
「ええ、ありますよ。」
肉屋はふりかえってそう答えたが、目籠をおろしそうなふうには見えなかった。
「少うしでも売る?」
「ええ、いくらでも売りますよ。」
「じゃ、これだけおくれ。」
次郎は思いきって、握っていた手をひろげて突き出した。三枚の白銅がびっしょり汗にぬれて、掌の上に光っていた。
肉屋はけげんそうに次郎の顔を見て、金を受取ったが、すぐ目籠をおろして、幅一寸長さ三寸ぐらいの肉片を俎の上にのせた。
次郎はそれをみんな刻んでくれるのかと思って見ていると、秤にかけられたのはその半分ほどだった。それでも秤《はかり》は錘《おもり》の方がはね
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