いよませ[#「ませ」に傍点]て来た。
そして、世間というものがいくらかずつわかり出すと、もう自分の家と親類の家とをはっきり区別して、自分が現在どんな位置に居るかを考えずにはいられなくなって来た。
(自分はこの家で生まれた人間ではない。誠吉なら威張ってこの家の飯を食って居れるが、自分はそういうわけにはいかないのだ。)
こんなことに気がつき出した彼は、変に何事にも用心深くなった。そしてこれまで謙蔵に対してだけ感じていた窮屈さを、この家のすべての人に対して感じるようになり、祖父や祖母に対してすら何かと気兼《きがね》をするようになった。また、雇人たちが彼に向かって軽口をたたいたり、ちょっと手伝いを頼んだりすると、何だか侮辱されたような気がして、以前のように気軽にそれに受答えすることが出来なくなってしまった。
それに、何よりも、彼に変に思われ出したのは、このごろのお祖父さんやお祖母さんの素振《そぶり》に、何か彼にかくし立てをしているようなところが見えることであった。二人共、最近しげしげと本田を訪ねるのに、いつも次郎には知らさないで出て行ってしまった。帰って来ても、本田の話をするのを、なるだ
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