落したり、蒸炉《むしろ》の焚口《たきぐち》に櫨滓《はぜかす》を放りこんだり、蝋油の固まったのを鉢からおこしたり、干場一面の真っ白な蝋粉に杉葉で打水をしたりする男衆や女衆にまじって、覚束《おぼつか》ない手伝いをするのも、誇らしい喜びだった。ことに「灰汁《あく》入れ」作業の手伝いは、次郎が学校を休んでもやりたいと思う仕事の一つだった。
 この作業の日には、附近の農家から、手のあいた女たちが凡そ二十人近くも手伝いに来た。その中には、婆さんも居れば、若い娘も居た。それらの人たちに、家内《うち》の婢《おんな》たちや、子供たちも交えて、三十数名のものが、土間に蓆をしいてずらりと二列に並ぶ。めいめいの前には、擂鉢型《すりばちがた》の浅い灰色の鉢に、一本の擂古木をそえたのが一つずつ置いてある。やがて、蝋油を溶かした黄褐色の液体が、一定の分量ずつ、男衆によって鉢に注がれる。注がれた人は、すぐ擂古木をとって、それを掻きまわさなければならない。掻きまわしているうちに、はじめさらさらした蝋油が、次第にさめて、白ちゃけたどろどろの液になって来る。適当の時期を見はからって、男衆はそれに一柄杓の灰汁《あく》を注ぎこ
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