。」
「そうなれば、今のままでは、とてもやっていけませんわ。いよいよ土地が売れたら、小作米だって、ぐっと減《へ》るでしょう?」
「減るどころじゃない。全くなくなるさ。」
「全く? じゃ残らず売っておしまいになりますの?」
「五段や六段残したって仕様がないし、先方でも、出来るだけまとまった方がいいって言うからね。」
「まあ! それでは仏様に対して申訳ありませんわ。」
「そりゃおれも申訳ないと思ってる。しかし、こうなれば仕方がないさ。」
「仕方がないではすみませんわ。……あたし、正木の父に相談してみましょうかしら。」
「長鹿言え。……おれの不始末は、おれが何とかする。」
「だって、一粒の飯米もはいらなくて、これからどうなさるおつもりですの。」
「食うだけは、おれの俸給で、当分何とかなるだろう。」
「俸給ですって! これまでろくに見せても下さらなかったくせに。」
「これからは、みんなお前に渡すよ。」
「みんなって、いかほどですの。」
「お前、主人の俸給も知らないのか。」
「そりゃ存じませんわ。これまで何度おたずねしても、俸給なんかどうでもいいじゃないかって、いつも相手にしてくださらなかったん
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