も、直吉も、それっきりやって来ない。このまま放って置かれるんではないかと思うと、さすがにいやな気がする。かといって、こちらからのこのこ出て行く気には、なおさらなれない。
(父さんはもう帰ったか知らん。帰ったとすればこの話を聞いて、どう考えているだろう。父さんまでが、もし知らん顔をして、このまま何時までも僕を放っとくとすると、――)
 次郎は、そう考えて、胸のしん[#「しん」に傍点]に冷たいものを感じた。そして、次の瞬間には、その冷たいものが、石のように凝結《ぎょうけつ》して、彼をいよいよ頑固にした。
(二日でも三日でも、僕はこうしているのだ。僕はちっとも困りゃしない。)
 しかし、それから小半時もたって、あたりが真っ暗になると、流石に彼も辛抱しきれなくなった。やはり家の様子が知りたかった。
 彼はとうとう思いきって小屋を出て、そっと茶の間の縁側にしのび寄った。茶の間には、あかあかと燈がともっていた。
「それで恭一にも、俊三にも、よくきいてみたのか。」
 父の声である。
「いいえ、べつべつにきいてみたわけではありませんけど、……」
「それがいけない。三人一緒だと、どうしたって次郎の歩が悪
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