に捨てられて馬鹿を見るのはお前のやうな学問もない器量も悪い女ばかりよ。これが田舎女でも芸者衆とかれつきとした料理屋の女中といふなら話は別だが、お前なんかは土百姓でも真面目な男は相手にしない素性の女で、大福に目鼻をつけた器量ぢやないか。よくせきの零落でもしなかつたらあのすき者の旦那がお前風情を相手にするものかよ。旦那は生れついての放蕩者で、かう言つてはなんだが儂らの土地でもさうたんとある人ではない、血も涙もないといふ噂もある人で、そこが場馴れた話上手でどういふ殺し文句を言つてゐるか知らないが、言葉の通りを真に受けて貰ふべきものもいらないの晴れて一緒になるのといふ夢のやうなことは考へないものだ」
「兄さんに買つて貰つた指環でも着物でもあるまいし、私がいらないといふものなら黙つてくれてもいいぢやないか。私はさうまでして旦那と別れやうと思つてゐないもの」
「俺が金のことを言うてゐると思つてゐるのか。まあいいさ。お前はさういふ馬鹿な女だ。いいか。俺の言ふ大事なところはここのところだ。旦那は生れついての放蕩者で何十年このかた近所近辺の嗤はれ者だが、持つたが病でこの齢になり乞食のやうに零落はしても浮
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