りつかれた軟柔の動作で、室内一面にバラまいた。札束は部屋一面に散らばつた。
「さうよ! さうよ! お姉さん! こんなお札破いちやう方がいいわよ! アハヽヽヽヽヽ」
一瞬の沈黙を破つてけたたましい笑ひ声が起つたと思ふと、弥生がもつくり半身を起して、狂気のやうに哄笑しながら、二三枚の札幣《さつ》をつかんでビリビリ千切つた。
「破いちやつたわよ! 破いちやつたわよ!」
叫びながら弥生の笑顔は石のやうに蒼ざめてきた。茫然と一つの空間に視線を据えてゐたかと思ふと、突然顔を布団の中へガバと押しこみ、火のつくやうに泣きだした。狂つたやうに背をうねらせた。
私の心は平静を破られはしたが、然し騒がしいものではなかつた。
「別れやうなんて、さういふ意味はないのだよ。これはただ軽い償ひのための金だ。勿論お前は、これを破いても焼いてもいいのだ」
私はできる限りの優しさと静かさで言つた。私は三千代を強い言葉で励ましたかつたが、さういふ言葉も、さういふ強さも浮きあがらうとはしなかつたので。
さうして私が部屋一面に散らばつた札ビラを見るともなくぼんやり眺めてゐるうちに、私はその札ビラが拾はれもせず散るにま
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