bをきいた時、どういふものかまつさきに君のことを思ひだしたよ。君に教へてやつたら興味を持つだらうとも思つたのだが、然しそのことよりも、よく似てゐるなと考へたのだよ。これは冗談ぢやないのだ。君が少女ならその Catalepsy になりさうなんだよ」
「Catalepsy は必ずしも虚弱な人間がなるものではないのだ。むしろ健全な人、健全な両親の子供が思ひもよらずなる例が多い」
「さういふ厳密な話ぢやないよ。僕の言つてゐるのはただ感じのことだが、ところが僕がその少女にいざ会つてみると愈々奇妙なことがあつたのだ。君に話したいといふのはそのことなんだが。僕の会つた日は発作もなく特に亢奮状態でもなく普通の日で、多少動作に男のやうな荒つぽい感じがあるだけで、特別奇怪な行動もなかつたのだ。ところがふいにその少女が僕の顔を凝視めてね、急に叫んだものだよ。この人の友達に私の好きな人がゐるといふのだ。私の愛人がゐる筈だと、同じことを二度叫んだよ。僕はかなり面喰つたが、面喰ひながら咄嗟に思ひついたのが矢張り君のことだつたよ。その愛人は君ぢやないかと奇妙にかう、なにかグロテスクな実感をもつてさう思はずにゐられな
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