「づれも妖怪じみた老婆の話で若い娘のこの種類の話はきいたことがなかつたし、なにぶん四五軒隣りに起つた生々しい話なんでね。興味を覚えたところから、十日ほどまへ下宿の叔母さんが紹介してくれるままに、会つてみたのだ」
「ちよつと、待つた(二九太は突然性急に長平を制して、上体をぐッとのりだした)その娘がはじめて発作を起してブッ倒れた時の症候はどうだつたのだ? 精神的の打撃であれ、肉体的のことであれ、明確な刺戟の強い原因があつたのか? またブッ倒れてから嘔吐を催したとか、痙攣を起したとか、呼吸困難におちいつたとか、激しく咳きこんだとか、発作後は長らく消化不良に悩むやうになつたとか、或ひは当時最初の月経時に当つてゐたといふ事実はないのか?」
「さういふことは分らないが、発作の後は、動作に神経病患者通有の荒々しさが現れたとか、性的に大胆な不道徳を現すやうになつたとかいふ噂はきいてゐるよ」
二九太は苛々した激しさで頷きながら、性急な語調でなほも質問をつづけた。
「その後時々全身が硬直するといふ特殊な発作を起すことはないのか? これが大切なことなのだ。分らないか? それから感覚が転置するといふ異常な生
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