が年中動いてゐるのですよ。突然あの人の前に跪いて許して下さいと叫びたくて仕方がないのです。それから先はどうならうと僕にはてんで見当もつきませんし、既定の計算もないのです。それどころかてんで見当がつかないから、いつそ一思ひにあの人の前に跪いて許しを乞ひたくて仕方がないのかも知れないのです。もとよりキザなことですよ。滑稽ですよ、だいたい何を許してくれといふのです? なんだつていいぢやないかと僕は怒鳴りたくなるのです。許さるべく努力しなければならないといふのですかね? さうかと思ふと、あとは野となれ山となれといふ奴なんです。あの人の前で許して下さいと一思ひに叫んだら、どんなに清々するだらう! 苦しさを一皮ぬぎすてたやうにホッとすると思ふんですよ。すぐそのあとで、あの人の目の前で、いきなり誰かほかの人に抱きついて接吻してもいいくらゐだと思ひませんか? いいえ、僕はほんとにやらなければならないやうな気がするのです。我々の生活ではそれが普通でなければならないのです。我々の心理を表現する生活が全くないくせに、我々がとにかく生活してゐるといふことは、考へただけでたまらなく不愉快になることですよ。表現す
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