朴水の婚礼
坂口安吾
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)性質《たち》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「皙」の「白」に代えて「日」、第3水準1−85−31]なのが
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)オイ/\
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朝巻信助は火星人といふ渾名であつたが、それは頭デッカチで口が小さいといふ意味ながら、顔が似てゐるためではなく、内容的な意味であつた。彼は親友が死んだとき、泣いてゐる奥さんの前で「彼の死は悲しむべく然し、それは目出度いことである。さうでもないか。然し、とにかく――」かう言つて絶句してしまふのであるが、それはつまり彼が平常色々の考へごとをしてゐるからで、死といふことに就いてもかねて色々に考へてゐるから、単純に死は悲しいといふやうな表現ができない。生憎彼は非常に表現の下手な生れつきで、精神内容を表現しきれず、事あるたびに奇妙なことを口走る結果になつて、怒られたり笑はれたり蔑まれたりしてゐる。だから
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