足と一しょにダビ所を出てしまったのです。さッきの人物は前夜のうちに重二郎を殺して屍体とともにダビ所の中にひそんでいたのですよ」
新十郎は懇願するように説明々つづけた。
「両手の指と、両足のクビにホータイをしていた人物を思い出して下さい。その人物は手のホータイは仕方がないが、足クビのホータイは見せたくなかった筈です。どうしてそれを見せてしまったのでしょう? 女中をよんでくるためにです。そして、モーロー車夫をつかまえたテンマツを女中に語らせるためです。それは足クビのホータイを隠すことよりも重大でした。なぜなら、モーロー車夫は彼だったからです。彼は車夫に化けて重二郎をのせ、どこかで殺して、ダビ所にひそんでいたのです。すべては予定の手筈でした。ヘップリコを用いて山キを乗ッとろうとした悪人を仆《たお》して妹夫婦をまもるために、彼は魔人の如くに力強く行動したのでした」
うなだれた虎之介を花廼屋が慰めた。
「牛に負ける虎もいるものだ。クヨクヨするなよ」
輩下一同の技をこらした仕掛と、新十郎のとりなしなどもあって、コマ五郎は無罪放免になったということである。また喜兵衛によく似た老人が秋田山中に隠
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