屋根にも通路がないのに、あなたはその中から出られますか」
「ハイ。出られます」
「これはおもしろい。私の庭にあれと同じ物をつくって、あなたを棺桶に入れて担ぎこんで火をかけても、あなたはヌケ出ることができると仰有るのでしょうか」
「ハイ。ぬけでることができます。そして、人の居るべき筈のない建物が焼けたのに、そこに誰かが死んでいることもできます」
「実におもしろいぞ」
 と木場の旦那はスッカリ喜んでしまった。
「するとあなたは犯人も御存知ですな」
「存じております」
「それは何よりです。あんまりフザケたようで、故人の霊を傷けては困るが、そのために犯人をあげていただくことができれば、故人も成仏してくれるでしょう。さっそく同じ物をつくらせますから、カラクリのタネをあかして犯人をあげて下さい」
「心得ましたが、その前に約束があります。この実演はここに居る四人だけの秘密にして、御家族にも口外をひかえていただきたいのですが」
「よろしい。堅くお約束いたします」
 そこでコマ五郎の輩下に命じて、ただちに同じ建物と棺桶をつくらせた。コマ五郎一家のものは、これによって親分を助けることができるというヤマ甚の
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