叫んだが、新十郎はとりあわなかった。彼は刑事にひッたてられて、所轄の警察へ拉し去られた。
「やれやれ、事件は急転直下解決いたしましたなア」
と、虎之介がホッと息をつくと、新十郎はすまして、
「さア、どうですか。なかなか一筋縄ではいきません。奥には奥がありますよ」
「そんなバカな。動機と云い、血痕と云い、ハッキリしている。カケガネのはずし方、かけ方まで自分でちゃんと説明しとるじゃないですか。私は犯人ではございませんと云う奴を犯人でないときめるバカ探偵、甘スケ探偵があるもんですかい」
「ブッ、偉い! あなたは、甘くもなければ、バカでもないよ。ですが、あなた。ね、剣術の心眼と、探偵の心眼は、又、別のものだねえ。アレをごらん。アノ、土蔵の中の土。ね。これですよ。ここに心眼をジッとすえなくちゃア、この犯人はつかまりません」
「くだらないことを云うな。土ぐらい鼠が運んでくらア。この田舎通人のボンクラめ」
「あなたヤケを起しちゃいけませんねえ。探偵がヤケを起して、土ぐらい鼠がもってくる――鼠がもってくるかねえ。それはモグラの事でしょう。ですから、あなた、犯人はとてもつかまりません」
明朝十二時に
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