の戦ひではなく、今や全世界最大のニュースであるとき、従来の報道や戦争文学の文章は特に悲しむべき文化的貧困として厳正な批判を受けねばなるまいと思ふ。それにつけても、○○中佐の談話は、戦果の偉大さを伝へると共に、文章としても、それ自身、日本文化の偉大なる戦果であつた。戦争の如き崇高偉大なる事実が、単に事実として率直に語られて崇高偉大で有り得ないやうなら、むしろ語らぬ方がよい。文章のカラダマは文章ではない。
皇軍の戦果の偉大さに比べて、感傷過多の報道は、その貧しさに於て傷《いたま》しすぎるものがある。同時に、この種の感傷過剰の報道に満足する読者も、新東亜の建設を双肩に担ふ文化人として、その貧困さを内省すべきではないかと思ふ。
底本:「坂口安吾全集 03」筑摩書房
1999(平成11)年3月20日初版第1刷発行
底本の親本:「都新聞 一九四七四号」
1942(昭和17)年1月8日
初出:「都新聞 一九四七四号」
1942(昭和17)年1月8日
入力:tatsuki
校正:noriko saito
2008年9月16日作成
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