らいまと同じ内容の告白書を綴って死にますが、私が日本人で、彼の妻であることだけは書きたくないのです。誇りが許さないのです。あなたにだけは打ち明けましたが、もしも私があなたすらも偽って死んだとすれば、死後の淋しさに堪えられないでしょう」
 茫然と居すくむ百合子をのこして、令嬢は静かな足どりで自室への階段を登って行った。



底本:「坂口安吾全集 13」筑摩書房
   1999(平成11)年2月20日初版第1刷発行
底本の親本:「キング 第二九巻第五号」
   1953(昭和28)年4月1日発行
初出:「キング 第二九巻第五号」
   1953(昭和28)年4月1日発行
入力:tatsuki
校正:noriko saito
2010年5月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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