恋愛というようなものは、人生以前で、それが終ったところから始まる生活、それが人生だということを知っておくことが必要だ。
人生とは各人がめいめいの手でめいめい独自な設計をつくりあげるところだ。人生は人工的でなければならぬ。
そして人生は又、結局孤独なものなのである。最後のよりどころはいつも一人、孤独なわが魂の独白にひとり耳を傾けるような、そういうところへ戻らずにいられないものだ。
若い頃は、青春の生き生きした生命力と共に、暗さや失意と同時に孤独を感じ易いものであるが、青春の孤独は同時に人生の孤独で、結局人間の魂は自分一人のものであるより仕方がない。
その絶対の孤独というものを承知の上で、せめて命あるまゝ、わが人生をつくりあげる。生きるとは造ることであり、だから造るとは又、遊ぶことであると云えよう。命かぎり、わが誠意をかけ、結局人生はよく遊ぶことであるかも知れない。
底本:「坂口安吾全集 06」筑摩書房
1998(平成10)年7月20日初版第1刷発行
底本の親本:「教祖の文学」草野書房
1948(昭和23)年4月20日発行
入力:tatsuki
校正:小林繁雄
2007年5月5日作成
青空文庫作成ファイル:
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