は白なりにスマートな装飾をつけて、先ず外見からプロらしくダンディぶることが大切であろう。目下のところ、技術がまだ大いに至らぬのであるから、白いユニホームで現れると、いかにも場末のアンチャン野球という泥くさゝが鼻について、いけない。
 その次に、この辺は神経衰弱の致すところかも知れないけれども、各選手がグローブを一塁又は三塁のコーチャーボックスのあたりへ投げすてゝベンチへ戻ってくる。あそこからベンチまでいくらの距離でもないのに、なんだって、ゴミタメみたいに、あそこへ投げだしてくるのだか、腑に落ちない。たまたま一塁か三塁よりへファウルフライがあがって、スパイクがグローブにひっかゝってエラーしたら、どういうことになるのだろうと気にかかって見ていると頭痛の種になるのである。
 夕方の四時頃になると、太陽が三塁から左翼を低く直射するようになる。すると、三塁と左翼がポロポロと失策をやりだす。一九四八年はアロハシャツと色メガネの大流行時代であったが、アロハユニホームはよろしくないが、色メガネは用いた方がよろしいだろう。あの時間の太陽の直射が分りきっているのに何らの用意もなく、ポロポロと凡フライを落っ
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