せつけられたが、党員の品性の低さを悲しみ、その品性を高めるように指令し、努力したという事実については知るところがない。
共産党の全てが、共産主義というものが、みんなこのように無内容で、品性下劣なわけではないだろう。日本共産党というものの悲しむべき特性であるらしい。しかし、ナホトカで特殊教育をうけ筋金を入れてもらって祖国へ敵前上陸する新特攻隊を見ると、共産党の本家も、その品性の低さ貧しさに於て日本支店の本店たるにふさわしく、人間の良識が求めているものには逆行的であるようだ。
だが、新聞の報道から推察するに、中共などは、よほどマシなようである。朝鮮戦線からのニュースでも、彼らの軍規は見るべきものがあり、捕虜に対する取扱いなどは紳士的ですらあるように見える。それも政略ではあるが、本家や日本支店の舞鶴上陸やテキハツ隊や法廷戦術の品性の低さも政略なのだから、その差は甚しい。
だいたい人間の良識というものは相互の打算的なもの、政略的なもの、その作用を利用して、中正や相互的な幸福安定の度を高める働きと見てもよかろう。政略といってもバカにはならぬ。指導者の理想設計図の心棒がしっかりして、日常の行
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