より神風にたよつた日本が破滅した如くに、名人は敗れて、自ら天命也といふ。まことにバカバカしい。だから負ける性格であつた。
将棋に殉じ、その技術に心魂さゝげるならば、当然勝負の鬼と化す筈、政治家は政策の実行の鬼と化し、各々その道に倒れて然るべきもの、風格の偉さなどといふものは、どこにも有りやしない。将棋は将棋の術によつて名人たるのみ。
名人の言ふ如く時代だ。然り、亡ぶべきものが亡びる時代だ。形式が亡び、実質のみが、その実質の故に正しく評価されるために。新しい、まことの日本が生れるために。
実質だけが全部なのだ。
底本:「坂口安吾全集 05」筑摩書房
1998(平成10)年6月20日初版第1刷発行
底本の親本:「群像 第二巻第八号」
1947(昭和22)年8月1日発行
初出:「群像 第二巻第八号」
1947(昭和22)年8月1日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※新仮名によると思われるルビの拗音、促音は、小書きしました。
入力:tatsuki
校正:深津辰男・美智子
2009年4月20日作成
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