酒のあとさき
坂口安吾
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)臍《ほぞ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|米《メートル》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)スウ※[#小書き片仮名ヰ、143−12]ング
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)バカ/\しくて
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私は日本酒の味はきらひで、ビールの味もきらひだ。けれども飲むのは酔ひたいからで、酔つ払つて不味が無感覚になるまでは、息を殺して、薬のやうに飲み下してゐるのである。私は身体は大きいけれども胃が弱いので、不味を抑へて飲む日本酒や、ビールは必ず吐いて苦しむが、苦しみながら尚のむ。気持よく飲めるのは高級のコニャックとウヰスキーだけだが、今はもう手にはいらず、飲むよしもない。ジンやウォトカやアブサンでも日本酒よりはいゝ。少量で酔へるものは、味覚にかゝはらず良いのである。
酔ふために飲む酒だから、酔後の行状が言語道断は申すまでもなく、さめれば鬱々
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