ル子はそれが面白くて仕方がない。というのは、もうメイテイの証拠である。
「サルトルさん、箱根の裏山に阿片を埋めてらっしゃるって、ほんと?」
「これは驚きましたな。どうして、そんなことを御存知ですか」
「みなさん知ってますわよ。そんな話に驚いてたら、この会社に勤まらないわ。ウチじゃア、帝銀事件ぐらいじゃ、驚く人はあんまりいないわね。マル公で売ったり買ったりする話だと、おどろくわ」
「なるほど。聞きしにまさる新興財閥ですな」
「男の方って、羨しいわね。密林へ阿片を埋めたりなんかして、ギャング映画ね。サルトルさん、ギャングでしょう」
「これは恐れいりました。アタクシはシガないヤミ屋で、ギャングなどというレッキとしたものではございません」
「ウソついちゃ、いや。白状なさいな。私、そんな人、好きなのよ」
「これは、どうも、お目鏡にはずれまして、恐縮の至りです」
「そんなんじゃ、ダメよ。ウチの社長や専務たち、機関銃ぐらい忍ばせてくわよ。いゝんですか。サルトルさん」
「それは困りましたな。アタクシはもう根ッからの平和主義者で」
「ウソおっしゃい!」
「なぜでしょう」
「顔色ひとつ変らないじゃありま
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