も劣っているのだよ」
「チェッ。半可通をふりまわして、あとで目の玉をまわしたって追っつかねえや」
しかし才蔵はまだ一方の心にシメシメ、ツルちゃんがサルトルと箱根へ行くことになったら、その時こそオレがうまくモノにしてやろうとほくそえんでいる。
そこで半平はツル子をよんで、事情をよく説明してきかせた。
「いゝかい。ツルちゃん。わかったね。恋人のように、また妹のように、つまり一言にして云えば親友のように、だね。心から打ちとけて、やさしく、あたたかくサルトル氏をもてなしてあげるのだね。功を急いではいけないよ。なるべく自然に話が急所にふれるのを待つのがいゝが、あるいはその時の状況によって、キミがきりだしてもいゝね。アヘンを山奥に隠して取引するなんて冒険でいゝわね、なんてね。映画のようね、などと言うのも自然かも知れないよ」
と、半平のコーチは懇切をきわめている。半平の話をきくだけきゝ終ると、ツル子は首をふって、
「ダメよ。とても一人じゃできないわ。じゃア、ノブちゃんと二人で」
「いけないよ。二人組のスパイなんて、おかしくって。スパイは一人に限るものさ。女が二人で組んでごらん。たちまち見破られ
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