するほど人ざわりがよい。
「御案内の通り社長はマニ教に凝っとりやすので、箱根に出むいた折はアタシが代理で現場を見廻っとります。風流気はありませんが、根が酔狂の生れつきで、アタシはヒッソリカンとした森林をぶらつくのがホカホカと好ろしき心持でざんすな。とある一日、木の根ッ子をえぐった穴がくずれて何やらチラと見えるものがござんす。なんとなく掘ってみると、石油カンに黒色の泥がつめこんであるのでざんすな。六ツずつ二段重ねに、十二個のカンがござんす。アタシが華中の特務機関におりましたので、ジッと見つめるうちに正体を突きとめやしたが、ちょッと失礼さん」
サルトルはいともインギンにモミ手をして、秘書嬢の退席をもとめた。それからツと三人の方に進みでて口に屏風をたて、
「オ・ピ・オ・ム。ア・ヘ・ン」
片目をつぶってニッコリ笑った。
「おどろきましたな。あの時はね。アタシはていねいに土をかぶせて、木の根を掘った穴ボコもあらかた埋《うず》めて口をぬぐって来ましたが、実はな、念のため、後日他の場所に埋めかえて、この秘密はアタシひとりの胸にたゝんでござんす。調査して分りやしたが、戦時中、富士山麓にアヘン密造工
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